>2009年09月21日
株式会社ニムラ・ジェネティック・ソリューションズが日経産業新聞で紹介されました!
外国政府と「薬の種」探索
マレーシアで植物や微生物資源から有効物質を探索するベンチャー、ニムラ・ジェネティック・ソリューションズ(東京・品川、二村聡社長)が”海外進出”に乗り出した。南アジアの小国、ブータンと共同研究契約を締結。医薬品の”種”となる生物資源の探索、活用を支援する。手探りで探索手法を構築して10年あまり、技術と実績を他国にも提供する段階に入った。
8月中旬、二村社長はブータンの首都ティンプーにいた。同国のガンショー農業相と共同研究契約に関する覚書に調印するためだ。「生物資源の管理方法や商業利用の方法について、ブータンにとって最善な方法を共に考えていきましょう」。二村社長の言葉に農業相は力強くうなずいた。
ブータンは、インド北部、ヒマラヤ山脈南部に位置する。民主化して間もなく、経済発展の指標に国民総幸福量を掲げ、伝統文化を重んじる国家で、海外企業の進出は少ない。国土の広さは九州とほぼ同じで人口も100万人に満たない小国だが、ニムラには魅力的な国に映る。
国土の標高差が数千メートルと大きいため多様な生物が存在する可能性が高いためだ。また、西洋医学を提供する病院がある一方で、草や動物をもとにした伝統薬を研究、製造する国立機関も備わっており、「伝統薬を西洋医学の手法で臨床試験できる可能性がある」(二村社長)。
共同研究はまず技術供与から始まる見通し。10月にもニムラのマレーシア子会社がブータンの研究員2人前後を招き研修を始める。一方でマレーシアの研究者を年内にもブータンに派遣し、ブータン政府の研究所新設を支援する。
伝統薬の材料となっている動植物のデータベース作りも始める。現地住民の使い方や呼称、薬効をまとめるとともに、バイオ技術を生かし臨床試験を踏まえて有効成分の特定も進めていく予定だ。5年後をメドに有効成分の利用権を海外の化学・製薬会社などに供与する。
ブータンとの共同研究には欧米の製薬会社も名乗りを上げていたもよう。競合を退けてニムラが契約にこぎ着けた理由を、二村社長は「マレーシアで政府と新興国の良好な関係を築きながら研究成果を蓄積してきた実績が評価されたため」と解説する。
二村社長は1997年にマレーシアで薬用植物情報の収集を開始。当初から国立の機関と共同研究を進めており、今ではマレーシア全土で植物や微生物、海中の藻類など多様な生物から有効成分を探る権利を有する。
成果を求める企業からのオファーも増しており、第一三共やアステラス製薬をはじめ、国内外の製薬会社や化学メーカーと提携しており、2009年3月期の売上高は提携先からの研究資金を中心に1億円強に拡大している。そんな同社の夢はマレーシア国外の生物資源にアクセスすることだった。アジア地域だけでなく、中南米やアフリカなど、他地域の国での研究も視野に入っている。
かつて、日本の製薬会社はアジアなどの国で菌などの微生物を勝手に収集し、医薬品を開発していたといわれる。しかし、現在は生物資源は生息する国に属する生物多様性条約という国際ルールがあるため、研究に着手することすら容易ではない。
開発候補物質を医薬品として実用化できる確率は1万分の1以下といわれるが、生物多様性条約もあり、新薬開発のハードルは一段と高くなっている。ニムラの事業は資源国と製薬会社をつなぐ重要な位置に立つ。提携国を拡大し、「生物資源メジャー」(二村社長)になれるか、ブータンの成果が試金石になる。
2009年9月21日 日経産業新聞